極私的なアメリカ大統領選

アメリカ大統領選、まあ終わったということでいいと思うが、なんだかんだ言ってトランプの間、アメリカは経済が良かったんだなと思う。特に、ヒスパニック(中南米系)の多いテキサス、アリゾナ、フロリダといった南部の経済は相対的にマシだったようだ。

通常経済が良いと現職が有利になるので、結論としては逆のような気がするが、中南米系だけでみると、トランプへの支持が増えている部分もある。

ロイターの記事にあるように、中南米系と言っても、キューバ系、フロリダのマルコ・ルビオみたいな保守のイメージと、メキシコ系はまたちょっと違うだろうけども、メキシコ系も、ここメキシコで嫁の親戚やら友人やらでアメリカに住んでいる人たちの話をまた聞きする限り、そんなに悪くなかったんじゃないかなと思える。

まあ日本の歴史でも、保守の支持層は田んぼをもらえた小作人層というか、貧しいところから経済基盤が向上したら人は保守化するものだと思うが、「長期的に見た2020年大統領選の一つの教訓は、中南米系米国人は経済格差が縮まれば、より民主党への頼もしい投票者ではなくなるということかもしれない。」という状況は頷けるものがある。

 

もう一つの、「自分より低学歴の大衆や労働者を嫌う左派リベラル」というのもまあ興味深いなと思った。こちらの知人で、ITエンジニアの人が最近会社を辞めたらしいのだが、早速米系の会社から引き合いがあって、アメリカに来ないかと誘われたらしい。問題はビザで、ITのビザは基本大卒以上じゃないとほぼ出ないそうで、じゃあ大学でもいくか、ということにしたとのこと。

私も高卒で、日本では似たような仕事ができていたのだが、アメリカの会社にいたときに、あなたの仕事をアメリカでやるとしたら「それはアイビーリーグを出た人たちがやる仕事よ」と言われたことをよく覚えていて、まあ日本マーケットという特殊な状況にメリットがあったんだなと思わざるを得なかったことがある。

経済面では全体的な底上げがあったのと並行して、素朴に能力主義を信じる人達の方のメンタリティが先鋭化して、格差肯定につながっているというのは、なかなか楽観的になりにくいなという感じだ。

 

個人的にはまあメキシコペソが暴落しなくてよかった、というのが大きいのだが、かといってあまりまた大きく戻しても面倒なので、早いところ落ち着いてほしいなと思う。