中国の "日本化"による衰退を示唆する論調は、教育という観点を見逃している
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– Michael Kamen, Brazil
中国経済にデフレの脅威がつきまとう中、チャイナ・ウォッチャーたちは使い古された疑問を再浮上させている。「中国は日本化するのか?」メディア御用達のアナリストの言葉を借りれば、以下のような感じだろう。
中国の経済成長は、いわゆる「日本モデル」と呼ばれるものを踏襲してきた。日本や他のアジア諸国では、このモデルは短期的には目を見張るような成長率を生み出し、非常に成功する - がしかし、それはいつも最終的には同じ致命的な制約にぶつかる。すなわち、大規模な過剰投資と誤った資本配分である。つまり、北京は用心せよ、というものだ。
「中国は今、不動産セクターが3年以上も低迷し、日本型の清算に直面している。」
ちなみにこの引用は2010年に書かれたもので、中国経済が現在の半分以下で、住宅不動産への年間投資額がまだ3倍だった頃の話だ。時々、早すぎる人もいる。
日本は特別だ。これほど長く目覚ましい経済成長を遂げた後に、これほど長期にわたって経済が低迷した国はない。しかし、「日本モデル」を踏襲したすべての国が、長期にわたる苦しい経済調整を余儀なくされたというのは事実ではない。
アジアの虎と呼ばれる4カ国(韓国、台湾、香港、シンガポール)は、いずれも数十年にわたる停滞を経験していない。そして、はるか後塵を拝していた一人当たりGDPは、今や購買力平価(PPP)ベースで日本を上回っている。
韓国は1997年から98年にかけてのアジア金融危機を乗り越え、財閥を改革し、価値を高めた。台湾は大陸と経済を統合し、世界有数の半導体生産国になった。
香港の最近の10年間はお粗末だったが、それは住宅への過小投資の結果であり、結局のところ、貿易と金融のハブである香港は依然として日本を上回っている。シンガポールは一人当たりの購買力平価GDPが日本の2.6倍となり、まさにロケットのような上昇だ。
アジアの虎たちの少子化は日本の約10年後に始まったが、それはより急激で、一人当たりGDPレベルももっと低いところで始まった。台湾の出生率はほぼ日本の水準まで低下しているが、韓国はそれをはるかに下回っている。シンガポールと香港の人口推移を見ると、移民の受け入れすら、よい結果をもたらしていない。
どのアジアの虎でも起こらなかったことは、「金持ちになる前に年を取る」という陳腐な定説である。少子化が進んだからといって、アジアの虎たちが日本の一人当たりGDPに追いつき、上回ることを妨げることはなかった。
宵浅く、悲惨な人口グラフの結果がアジアの虎たちを捉えるのはまだ先かもしれないが、1980年代以降の少子化が、逆にアジア人の2世代をキャリアと商売により注力させて、数十年にわたる成長を促したのかもしれない。
中国の出生率は、大学入学者数の急増とコロナによるロックダウンによって近年急降下するまでは、日本やアジアの虎たちを余裕で上回っていた。
中国の20歳未満人口は23.3%で、アジア諸国(16~18%)よりかなり高く、米国(25.3%)や欧州(21.9%)に並ぶ。65歳以上の人口も14.6%で、先進国(20.5%)より低い。
中国は今後20年間、若年労働者を欠くことはないだろうが、コロナ以降の出生数が回復するかどうか、また大学入学者数が頭打ちになるかどうかは未知数である。
しかし、出生者減と高齢者増によると言われる日本型の経済停滞に見舞われる可能性は、まだそれが起きていないアジアの虎の各国と比べても、中国が最も低い。
日本の失われた数十年の原因として過小評価されているのは、人的資本の劣化である。4年制大学への進学率が倍増したにもかかわらず、2022年に日本の大学が輩出した理工系卒業生の数は1990年と同数である。
90年代半ばから、若者の人口が減少するにつれて、日本の4年制大学は、1995年には18歳人口の14%が進学した短期大学の層を奪い始めた。2013年までには、短期大学への進学率は5%にまで減少したが、同じ期間に4年制大学への進学率は31%から55%へと増加した。
同時に、理工系学部(STEM:科学・技術・工学・数学)への進学率は1971年の24.5%から2016年には18.1%に低下した上、理系の学生の人気を集めたのは薬学部で、率で3倍増となっている。
4年生大学の門戸の拡大と、理工系学部から薬学のような分野への流出という複合的な効果は、日本が生み出すことのできた科学者やエンジニアの質を低下させたとしか言いようがない。
大卒者の数は1970年代に頭打ちとなり、日本では大学が教育水準の高い人材を労働力に加える時代はとうに過ぎている。
他の先進諸国と同様、日本も今、入れ替わりモードにあり、若者の人口が減少していることを考えると、大学はますます能力の低下した学生を卒業させていかざるを得ないのである。
これとは対照的に、中国は高等教育機関への進学率がまだ頭打ちになっていない。今世紀初頭には1桁台だった大学進学率が、2022年には18歳人口の34%が4年制大学に、29%が短期大学に進学する。
大学への入学率が現在の横ばいだとすると、中国の大学教育を受けた労働力は今後30年間で4倍に増加することになる。
4年制大学で理工系を専攻する中国人学生の割合は、2015年(報告データの最終年)で41%と、日本の2倍以上である。短大では43%が技術系を専攻している(医療系は13%)。
過去20年間、中国が高等教育の急増によって産業と技術の成長を牽引してきたのに対し、日本は人的資本とともに後退してきた。出生数が数十年にわたり減少し、大学進学率は長い間頭打ちとなっていたため、日本の高学歴労働力は1990年代後半にピークを迎えた。今、私たちは長い停滞を目の当たりにしている。
日本の特許出願件数は2000年のピークから44%減少した。年間の国内特許出願件数は、世界全体の25%以上から2022年には3%にまで減少した。日本は1990年代後半には世界の科学論文の9%以上を発表していたが、2020年にはわずか3.4%になる。
米国に次いで2位だった日本の科学者は、被引用数上位1%の論文発表で10位に転落した。同様に、世界の製造業生産高に占める日本のシェアは、1995年の20%超から2021年には6%に低下している。
日本の数十年にわたる緩やかな衰退の間に中国が急成長したことはよく知られている。過去40年間の中国のチャートはすべて同じように見える。
さらに興味深いのは韓国のチャートである。出生率が急落しても、韓国は特許出願件数と科学論文発表件数を増やすことができており、人口が半分以下であるにも関わらず、日本とほぼ近いレベルとなっている。
同様に韓国は、中国が他のすべての国の市場シェアを飲み込んでも、製造業の付加価値比率を維持してきた。
韓国の成功の裏にある恐ろしい秘密は、教育への徹底的な傾倒にある。過去20年間、韓国の18歳層の高等教育への総就学率は100%前後で、100%を超える年もあった。
これが意味するのは、韓国は18歳を使い果たし、必要な労働者を輩出するためにより年上の学生を大学に入学させているということだ。
アナリストたちは、日本経済の停滞は金融面の失策によるもので、その背景には慢性病のような人口動態があると考えがちだ。しかし、現実はそれよりももっと複雑だ。
日本は1980年代から90年代にかけて、プラザ合意、東芝潰し、屈辱的な自動車の「自主的」輸出割当など、アメリカに足蹴にされた後、財政的、経済的、社会的に回復することはなかった。
資産バブルの不始末に始まり、サービス業を競争から遠ざけて、ゾンビ企業を生命維持装置に繋ぎとめたことは、確かに何の役にも立たなかった。しかし、プラザ合意による円に対する制約と、主要産業大手への打撃を考えれば、日本がかつて占拠し、自ら想像していたものよりもはるかに小さな壺に引きこもったことは驚くことではない。
日本は、盆栽化した人々が社会から引きこもり、草食系になり、萌えアニメの抱き枕と結婚することで、低下した野心に対処し、活力を失ったことに他ならない。
短大進学層も取り込み、人口のより多くの割合を教育してきたにもかかわらず、日本は、より質の高い労働者を作ることで、衰退し士気を失った若者を相殺することができなかった。その結果、日本は科学、技術、産業の分野で急激に順位を下げた。
一方、韓国は人口が少なく、人口動態も似ているが、半導体、家電、化学、造船で日本を雄々しく凌駕している。世界的な科学論文や特許への貢献も増え続け、2018年には一人当たりGDPが日本を上回った。
過去20年間で、韓国の若者は世界で最も教育水準の高い国となり、25歳から34歳までの人口の70%以上が高等教育を修了している(他の高学歴OECD加盟国では50~60%)。
一見成功しているように見えるが、治療法は病気を悪化させているかもしれない。韓国の若者は、改革派が児童虐待に例えるような教育を受けている。
韓国人は、教育をアジアの狂気のまったく新しいレベルにまで引き上げてしまったようだ。営利目的の学習塾(ハグォン)は数十年前、試験対策のために設立された。今日、彼らは教育システムを掌握し、韓国の5歳児の大半を受け入れている。
猛烈な教育によって人口減少を凌ぐことに韓国は成功したようだが、結果的に過労となり、低学歴層の少子化はさらに悪化している。
韓国の2023年の女性一人当たりの出生率は0.72という壊滅的な数字である(現在の人口レベルを維持するためには2.1が必要)。このことが意味するのは、韓国は当面は「日本化」を免れたものの、最終的には破滅的な結末を迎える恐れがあるということだ。
今現在も2010年と同様に、中国の「ジャパニフィケーション」に関する論評は的外れである。中国が日本と似ているのは、不動産バブルという表面的な点だけである。
1990年代、日本の人的資本はピークを迎えていたが、中国の人的資本の向上はまだ始まったばかりである。中国の大卒労働人口のピークは、あと30年は来ないだろう。教育が若者を食いつぶすのを防ぐため、中国は最近、営利目的の家庭教師業界全体を違法化した。
今後20~30年の間、中国の労働市場は、新しく生まれた科学者やエンジニアで溢れかえるだろう。CATL、BYD、DJI、miHoYo、BOEといった、少し前には聞いたこともなかったような企業の社員として。
日本の失われた数十年を金融不始末のせいだと決めつけるのは、病気と症状を取り違えている。日本はプラザ合意以降、労働力の質を高めることに失敗し、それができた中国と韓国に競り負けたのだ。
中国の不動産デベロッパーのバランスシート、投資と消費のバランス、地方政府の債務にこだわるアナリストは、木を見て森を見ずである。どのように資金を調達しているかは三次的な重要事項だ。中国は、日本や韓国、その他の経済と同様、常に人的資本の物語である。ずっと人なのだ。
By HAN FEIZI/韓非子
FEBRUARY 19, 2024
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