Pixel 7aの北米版(GWKK3)は、モデル番号を変更するだけでSuicaが使えるようになるよ、という話

Androidの海外端末はおサイフケータイが使えない、NFC-F/Felicaへの対応はハードウェアレベルで、というのが今までの定説だった気がする。例えばここ最近私が使ってきた端末の Google Pixel 3a や Xiaomi Mi 11 Lite 5G は共に日本でも発売され、日本版はおサイフケータイに対応している。しかし日本版と海外版はハードウェア的にも違いがあって、海外版に日本版ROMを焼いたり、root化してソフトウェア上でどこかをいじったとしても、NFC-Fは有効にならない状態だったと思う。

一方、iPhoneは8以降でどの国のモデルを買ってもNFC-Fが有効になるので、一部の人にとってはiPhoneにメリットがあった。まあ、物好きが海外版を使う場合と、日本に来る旅行者へのメリットのようなものだから、ビジネス面ではあまり考えなくてもよいのだろうが、どうしても使いたいという人は出てくる。

今回の情報も台湾のサイトで見つけたのだけど、日本への旅行ニーズが高くて、ITレベルが高い国が存在してくれてありがたいなあというお話だ。


どうやら、このハードウェアの共通化はPixel 6から始まっているようで、Google Pixel 6、Pixel 6 Pro、Pixel 7、Pixel 7 Pro、そして今回試したPixel 7aであれば、ソフトウェアの書き換えのみでNFC-Fが解放されるようだ。

元々、Pixelの日本版を入手した人がシャッター音全開の変な制限にうんざりして、国際版に書き換えたいというニーズから議論が始まっていたようなのだが、だんだん日本旅行時にAndroidでもSuicaを使わせろという流れも合流したらしい。


さてやり方だが、adbの環境があって、ROMを焼いたりしたことがあるような人であれば、そんなに難しくない。

  1. 端末をroot化
  2. Magisk moduleでモデル番号を書き換えてリブート
  3. Android Flash Toolで初期状態に戻す

と、これだけだ。

 

雑多な注意点。

  • root化からMagiskの使い方なんかは、十分情報があると思う。昔はMagiskでパッチを当てるのはboot.imgだったが、工場出荷時にAndroid13の端末からは、init_boot.imgになったらしい。Pixel 7aは発売が最近なので、念のためMagiskはCanary版を使った。
  • PixelFlasherというソフトを使うと、ボタンを押すだけでbootのイメージ書き換えとFlashまで出来て楽になる。
  • 2番の書き換えは台湾のサイトのようにツールでやるのが簡単だと思うが、Pixel 7aの場合はMagisk moduleが対応していないので、Hex editorでファイルを書き換える(この書き込みの「Spoiler: steps」を参照)。一か所、GWKK3のところをG82U8にするだけだ。
  • Android Flash Toolでは、全Wipeと強制フラッシュ、OEMロックというかブートローダーの再ロックまでしておいて問題ない。
  • モデル番号の確認は、設定の「安全と規制に関する情報」のところで確認すればよいが、それ以前に、初期時のセットアップウィザードにてGoogleアプリのインストール選択画面があり、おサイフケータイ関連のアプリがリストされていれば日本版だ。なぜか私の場合書き換え後の初期ウィザードが北米版のアプリリストのままだったが、改めて設定からファクトリーリセットを行って、その後のウィザードでは日本版のアプリリストになった。

 

iPhoneでサーバーに預けたSuicaAndroid側に移動させて、PixelをiPhoneにかざしてSuica残高読み取りアプリできちんと読めたので、正しく動作しているとは思うが、実際に駅の改札やコンビニで使えるかをメキシコで検証することはできないので、まあ誰か試してみてほしい。

北米版モデル GWKK3  /  SuicaをWalletに追加し終わったところ

 

それにしても、中華端末はまだ輸入のメリットがあるかもしれないが、Pixelになると、日本版は北米版よりも100ドルくらい安い($499+地方税)上におサイフケータイもついていて、もはや日本で海外版を買うメリットというのはほぼ消えている感じがする。

相変わらずカメラのシャッター音が鳴り響くのも、PixelはGcamという無音カメラがほぼ機能的に遜色のないレベルで使えるので、これに切り替えればよいだけだ。

海外版を買うメリットがほぼ消えたタイミングでこういう事態になるというのは、皮肉なのかなんなのか、不思議な感慨を覚える。素直に日本版を買えばよい時代になって良かったが、その頃には、なぜか私が海外に住んでいるというのもよくわからない。

 

同じような話は最近よく見かけて、数か月前にSamsungのGalaxy s22(SC-51C)をメルカリで買ったら、こちらも実はdocomo版とau版のハードウェアは同一で、ROMを焼けばそれぞれ完全に別のキャリア版に変更できるようになっているらしい。そりゃ誰でも細かく作り分けるよりも、同一のハードウェアにしてソフトウェアで制御すればよいと思うし、コスト面でも有利になるだろう。

だが今度は同一ハードウェアになってみると、キャリア版の対応バンドがやたらと削られてるのはなんなんだとか、そもそも何が不満で海外端末でFelicaを使わせたがらないのかなど、別の疑問も大きくなってくる。