(こちらの記事から続きます)
ヨーロッパからアメリカ経由で戻ってくると、ああ、ファストフードのドリンクカップがデカくなったな、という感じで、明らかに食生活の差を感じて面白い。メキシコはアメリカをさらに悪化させたような感じなので、ソーダファウンテンでソフトドリンク飲み放題というのに体が慣れてしまったが、ギトギト油のフライドポテトやアメリカ中華のオレンジチキンを見ると、ああこっちの世界に戻ってきたなと思える。
食事の時はまあ水を飲んだほうがいいなとか、ちょっと油と砂糖を抑えないとなあと思える。
マイアミの空港は初めてだったのだけど、ジャークチキン、キューバンサンド、エンパナーダ、セビチェとメキシコ以外の中南米フードが並んでいて、人種的にこういう感じなんだなあと興味深い。
ヨーロッパの食費が高い国では、トレイフードと勝手に呼んでいる、平たくいうとIKEAのレストランみたいなところが、大きめのスーパー、美術館、デパートや高速のサービスエリアとかには大抵あるので、それで済ませばいい。子供連れというのもあって、今回も大体そんな感じだった。
特筆するような味というものではないが、まあファストフードよりはローカルで、El Corte Inglésだと一応名物料理は置いてあるし、バルセロナのホステルはアーティチョークの料理なんかが出てきて、ああヨーロッパだなあと思った。
マドリードは知人の家が移民街のようなところにあって、7-8年くらい前にも一度行ったのだが、インド系の倉庫と商店をかねたような店が減って、個性的なレストランやテイクアウトが増えていた。まあジェントリフィケーションと言えばそうなんだろうが、移民の波は力強そうで、一帯はアフリカ料理とインド料理屋が目立ち、前回食べ損ねたセネガル料理にありつけた。西アフリカでは巨大なボールからガッとすくって盛られることが多かったが、ヤッサの盛り方が今まで食べたうちで最もこじゃれていて感心した。
日本並みとまではいかないが、ヨーロッパのスーパーは中食がそれなりに充実しているので、子供はパック寿司とかアロス・ネグロあたりで満足していた。私は3フランのレンジフード、タイレッドカレーでOKだ。スイスはタイ移民が多いのか、妙にタイレストランとタイ料理が目立った。
宿はBooking.comの安いところという感じだったが、アメリカやメキシコと違い、西欧には非営利団体(NPO)がやっているようなホステルがそれなりに存在して、家族向けにも使いやすくなっているので、そういうところに泊まっていた。
オンライン予約サイトに出てくるし、反資本主義とまではいかないが、まあなんかしらの理念があって、一定の質を担保しながら常識的な値段で泊まれることを目指しているような宿が見つかるのは、ヨーロッパらしい。こういう宿は突き詰めると、ネットミームの「北欧の快適な刑務所」に近くなってくるのだが、私は宿にそれ以上を求めていない。
団体を含めてそこそこの人数を受け入れるような施設なので、洗濯とか食事とかは概ね使い勝手が良いし、子供はプールに満足していた。サスティナブルとかをうたうパターンが多いので、食事もまあ多少配慮されている感があるものが出てくる。
単純にヨーロッパ人がケチなのかもしれないが、アメリカとかメキシコは本当にリーズナブルという概念が存在しないので、羨ましいところだ。
セルビアとモンテネグロは、国全体のレストランが肉のグリルに特化しているような感じで、どの肉を食べても美味い。アルゼンチンもレストランに焼き場があったりして、ステーキや肉の盛り合わせが素晴らしいが、セルビアも似たような感じで、まずは盛り合わせ、という感じだ。
皮なしソーセージ的(チェヴァピ)なのとか、ハンバーガーのパティ(プリェスカヴィツア)などもう少しミンチ状のものが多いが、焼きたてのパンに挟んだりして食べると、結構感心させられる。
イタリアのピザとパスタ、トルココーヒー、ギリシャのフェタチーズを野菜にかけるサラダ、ハンガリーのパプリカ肉詰めなどもよくメニューに並んでいて、歴史的な交流も感じさせられる。
世界的にはあまり有名な料理でないと思うが、満足度は高かった。