Surfaceとの一週間

Surfaceが届いたので、ちょっといじっている。

 

基本的にスマホで用事が済めばそれが一番だとは思っているのだが、どうしてもPCがあったほうがよい時がある。

先日ジャカルタへ行った時もそうだったが、用途としてはちょっとした文章作成と、カメラの画像を取り込んで縮小して、クラウドなりメールなりで送るというようなタスクだ。スマホにキーボードをつけて使うのでもいいのだが、iOS/Android系のOSは出自としてファイルという概念をできるだけ隠そうとするので、複数のファイルを添付して送るなどということが結構面倒くさい。

Surfaceの発売イベントでは、ハーバードの大学生に写真を撮らせてBlogを書かせるという一連の流れを試させたらしいのだが、これは正しいマーケティングだ。そういう時にこの端末はかなりうまく機能するのでは、という期待があったからだ。


■Surface以前

タブレットにキーボードというのは以前から興味があって、BluetouthのキーボードとかASUSのTF101などを折に触れて試してきた。

AndroidはUSBキーボードが普通につながるようになったり、複数の文字配列を設定できたりとかなり進化は著しいが、バーチャルキーボードが表示されているままでキーボードから入力するなど少し間が抜けている感じは否めない。また日本語変換がインラインではなく、候補確定のような基本操作がキーボードとタッチ併用のような形になり、入力がいまいち最適化されていないなと感じる時もある。

iOSはATOKがかなりいい線まで行っているようだが、やはりメディアビューワーであり、そのエレガントさをより完成させる方向へ向かっているので、入力の周辺機器とかスマートさに欠ける世界とはどうも親和性が低い。まあAppleにまともな日本語環境を最初から期待することも難しいだろう。

 

根本的には自分のニーズだとノートPC、まあMacBookAirあたりを買うのが明らかに正解だと思うのだが、アダプタを入れたりすると、まだ荷物としては重いなと感じるし、まあもうWindowsなんて5万円台の時代だ。MacBookAir 11インチは解像度が高すぎて買って2週間で返品したし、13インチだと10万円を超える。そもそもそれほど使わないのにオーバースペックになってしまう。

実際ノートPCは4-5年前に買ったものを延々と使ってきたので、Chromeしか入っていないようなクラウドマシン化していた。ではChromeBookを買えばいい?うーん、これはこれで輸入してまで買うものではないんだよなあ。安いPCにUSBブートでも使えるし。


■そしてSurface

という長い前置きがあって、Surfaceに繋がるのだ。どこまで一般的かはよくわからないが、そんな環境のなかで評価しようとすると、以下のような項目になる。

  • Tablet/Padとしてよくできているかどうか
  • キーボードの入力がどのくらい快適か。シートのようなアレはどうなのか
  • 日本語入力、切り替えなどがどこまでPCに迫っているか
  • 重さ、周辺機器の対応状況、必要な環境構築がどこまで可能か
  • Windows8はどうか


■ファーストインプレッション

タブレットとしてはやはりiPadのほうが間違いなくよく出来ていると思う。そんなことは誰でもわかっているだろう。

当初のいらだちで大きいのは、これをノートPCスタイルで使うか、タッチのパッドスタイルで使うかで迷い、何度も切り替えてしまうことだ。これは微妙なところだが、ある程度慣れてくるとどちらが楽かを認識できるようになる。

Touchキーボードも、もちろん違和感がある。当初タイプ感覚が慣れず、力の入れ方がよくわからないので、指に負担が来る。とはいえ他のスマホ・パッドで利用するようなキーボードとの組み合わせを考えると、ないよりも付いているほうが明らかに良いし、結局キーボードを使っている時間は長くなってくる。ある程度慣れればこれでいいんじゃないかと思えてくるし、膝の上に載せて今これを打っているが、それほどミスタイプも出ない。

無駄に音がよかったり、まあハードウェアとしての完成度は高い感じだ。カバーを裏返したらキーは反応しなかったり、気が利いているなというところも一応ある。


■Windows 8であること

日本語入力は概ね良くできている。やはりWindowsの厚みは伊達ではない。全てインラインでの入力が可能だし、winキー+スペースでMacのように英語と日本語の切り替えができるようになった。まったくメニューバーがなくなってしまったので、現在どの入力モードにいるのかがわからないが(そのかわりカーソルの右横に時折Aとかあと表示される)それ以外は違和感がほぼない。

ということで、Apple製品のように当初から違和感なく使えるというものではないが、慣れてくるとなかなか便利、というのが感想だ。これはWindows 8の話だが、新しいショートカットが山のようにあり、これを使いこなせればキーボードで実はそれなりにこなせる。

Windowsとして便利なのは設定のカスタマイズが以前からのノウハウでできることだ。例えばWebDAVを個人的に愛用しているが、Windowsのデフォルト環境ではSSLのものしか接続できない。この変更はレジストリでできるが、今まで同様にこの変更が可能で、問題なくDAVへ接続できるようになった。

あとはUSBメモリの認識とか、そういう辺りのことは普通にこなせる。


■Windows RT

RTというのは、今までのソフトはすべて動かないということだ。Chromeもないし、Windows Phone7.5もZuneソフトウェアがないので認識されない。

ソフトがないのは確かに問題で、リモートアクセスに会社ではRSAのSecurIDを使っているのだが、このドライバーはWindowsRTのものなんて当然出ていない。実はiOSにはこのプロトコルがデフォルトで組み込まれていてさすが王者の貫録だが、いずれは対応されるのだろう。この辺りは指をくわえて待つしかないようだ。

動画再生など概ね問題ないが、mkvファイルなどは再生ソフトがない。今この文をNotepad Classicsというアプリで書いているのだが、OSとOfficeなどプリインストール環境の軽快さに比べ、Storeにあるソフトはちょっと使うとやたら重くなったり、完成度の低さが目立つ。


■総評

なんというか、中途半端にいいとこどりをしようとしている端末なのは間違いない。当初メトロアプリとデスクトップという概念が両方あると聞いて頭がおかしいのかと思ったのだが、実際に使ってみると、自分のニーズもそのように分裂しているのだということが理解できてくる。

そんなものなのだから、それとして割り切って使えばそれなりに便利になるだろう。Officeもちゃんと使えて、デスクトップとファイルの概念がある世界へ時々戻りたくなるし、タブレットでスマートにこなしたいときもあるのだから。

買いか買いではないかと聞かれたら、間違いなく買いじゃないだろう。しかし今更iPadを買ってもなと思う人や、Jailbreakやroot化やSideload化をせざるを得ないようなタイプの人は、それなりに面白いのではと思う。


■おまけ

HDMIで出力できるケーブルを同時に買ったのだけど、なぜか全く届かない。UPSでトラッキングができるようになっているのだが、10/24からステータスが全く動かず、本体到着からもう2週間ほど経つ。カリフォルニアからオレゴンなので、東海岸の洪水あたりも関係ないと思うのだが。

仕方なくサポートに電話するが、なんだかアメリカはこういうところで電話の窓口しかないのは何故なんだろうね。日本だと逆にメールだけのサポートというケースも多い気がするのだけど。GMailの電話でアメリカのフリーダイアルは無料。すごい時代だ。

あと、外部出力のポートはHD Video out Portと書いてあるのだが、実はただのMicroHDMIのようだ。アキバの互換品でVGAに問題なく出力できた。