CHUWI CoreBook Proレビューと長い前説

※バッテリーが膨張してキーボードを持ち上げてしまう状態になった。海外通販の故障はどんなサポートになるのか、顛末を追記(2022年4月)

 

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コロナで仕事や学校の風景はがらりと変わり、リモートが当たり前になった。ある程度移動も含めた異なる場所での作業を想定し、それなりに快適にこなせるようなPC環境が必要になる。定番となったZOOMはそこそこのグラフィック性能を要求することもあり、モバイルPCでは少し性能的に厳しいものがある。

以前から私は、仕事ではデスクトップPCにフルサイズのキーボードとマウスを使いたいと思うタイプだった。そのため、自宅及び会社のデスクトップPCと、ほぼ非常用に近いモバイルノートPCを一台用意することでここ10年くらい大抵の用は足りていたのだが、最近のリモート環境に要求されるPC環境を再考することになった。

 

■今までのPC達

自宅のPCは初代から延々とMac miniを使っていたのだが、4年ほど新製品が出ないタイミングでしびれを切らし、IntelCore i3 NUCに変えた。単純に動作音が静かで、4K出力ができて、M.2 SSDが刺さればよい。子供もいるので、LGの43インチモニターがTV替わりとなり、Netflixの再生など、リビングPCのような扱いになっている。

ノートPCはとにかく重いのが嫌だったので、初代Surface個人輸入し、その後Miix2 8というWindowsの8インチタブレットにモバイルキーボードを経て、Surface Goに戻った。これで語学学校のZOOMやら宿題をこなしていたのだが、ちょっとPemtium Gold/4GBメモリーはギリギリで、ZOOMで100%のCPU負荷になるような状況だった。

とは言えSurface Goはよく考え抜かれたPCで、通常よりも縦長の解像度や、10インチサイズとは思えない快適なキーボードと軽さ、そして4K出力を備えていて、サブ用のモバイルPCとして優れており、一定の満足感はあった。ただ、新モデルがCPUを強化して出てきたように処理能力に少し難があり、これだけでメインPCにするのは無理があるとも感じていた。


■新たなPCに望むスペック

これから想定されるリモート環境は、基本は自宅で時々別の場所、そして旅行先でも、という感じになるので、持ち運べるノートPCの方が優れている。主に利用する場所では、モニターとキーボードを外付けにして使うが、ノートPC単体でもそれなりに快適な作業環境となる必要がある。

Macのラインナップは常に示唆に富む。ノートPCでは11インチのものは絶滅して、13インチ以上且つどれもそれなりに軽い。現状のコンピューティングにおいて大抵のニーズを満たそうとすると、11インチではこなしきれないということなんだろうと思う。13インチ以上でフルキーボードは必要だ。

ひと昔前のアメリカ人は、15インチで3kgくらいのノートPCを平気で出張に持ってきていて、日本では11インチのVAIOやLet's noteの頃で、さすがだなと感心していたが、ありがたいことに、今や15インチクラスでも1.5キロ以下が普通になってきた。

そして作業効率を考えると、実は横よりも縦の長さが重要だ。1920x1200と1920x1080の両方を使い比べてみると痛感するのだが、縦の長さで情報の一覧性が大分変わる。


大体上記の状況を頭に入れて安いノートPCを探したのだが、メキシコでノートPCを買おうとすると大抵スペイン語キーボードになり、USキーボード難民頼みのAppleはリテールストアがコロナで休業している始末。BestBuyも覗いてみたが、唯一英語キーボードだったのは型落ちのSurface Laptopで、10万円くらいの値札がついていて迷ったが、結局買わなかった。

メキシコでも安い15インチくらいのPCはあって、まあハードディスク500MBにメモリ4GB、TN液晶というようなものが7-8000ペソ(4万円)でWalmartあたりに売っているのだが、さすがにこれはちょっと安さに目が眩んだ情弱向けPCという感じで、そこを超えると急に10万円前後のクラスになる。ただ唯一の例外として圧倒的に良いのはHUAWEIで、ヨーロッパなど海外の市場価格と比べても現実的な値段でよく考えられたスペックのマシンが手に入る。ただし、スペイン語キーボードだ。

 

■CHUWI CoreBook Pro

というわけでまたオンラインの海外通販頼みとなるのだが、今回はCHUWIのCoreBook Proを選んだ。CHUWIは小型PCで有名になったと思うが、最近は13や15インチのノートPCの他、超小型デスクトップPCなんかも出していて、だんだんとフルラインナップ化しつつある。

CHUWIといえば安く、そして特定のエッジが利いたニーズに特化しているというイメージだが、CoreBook Proも同様だ。どこから調達しているのか、4-5年前の型落ちCPUを使い、そこそこのオンボードグラフィックを載せたうえで、他は妥協せず縦長の13インチIPS液晶にSSDを積んで、$399という価格になる。
PCを選ぶ際、CPUだけは常に欲しいものから1ランク下のものを選んできた自分にとって、なかなか納得感のある構成だ。

現状私はIntelの第七世代NUC(Core i3 U7100)がメインのマシンだが、速度的にあまり変わらない程度の古さで、少なくとも1-2年は動作には問題ないとは言えそうだ。画面は最近のトレンドな占有率の高い2K液晶で、かなり見やすく十分なサイズ感もあり、公式サイトで「High Productivity」を謳っているだけのことはある。
キーボードも配列以外は良好で、端子もUSBはAとCがそれぞれ一つづつにヘッドフォン端子となり、まあ薄さとの引き換えになっているのだろうが、この辺りは納得感がある。有線LANとHDMI出力はMacのようにUSBハブを買っての対応だ。

どちらかというと問題はスペックに現れないところに多い。例えばキーボードの配列がちょっと変なところで、キーボード領域に電源スイッチがあり、押し出されたDeleteキーがBackspaceの下に来る。起動中に電源ボタンをうっかり押してしまうと、設定によりスリープや電源オフとなってしまうので、電源ボタンに割り当てる動作をなしにしておくとよい。

またSurfaceと比べても、画面の照度調整を自動的にやってくれない(センサーが省略されているようだ)ところや、キーボードのバックライト点灯タイミングがタッチパッドの動作でONにならない点、そしてフロントのカメラ画像の品質が驚くほど低いところなど、まあ割り切った作りであることは1日使ってみて直ぐに分かる。

 

ZOOMが必要と言いながらカメラが微妙すぎるのは困ったことだが、まあ自分の顔がきれいに映るよりは相手の顔をはっきり見られる方が大事だし、CPU負荷もまったく問題ないレベルにはなった。

というわけで万人に薦められるようなものではないが、安くて、そこそこメインを張れるようなノートPCを探しているような場合、おすすめだ。最新のCPUがいいのであればHUAWEIが良い気がするし、Apple Siliconが時期的にもうちょっと早ければまた違っただろうなあとも思うが、リモート化は待ってくれないので、仕方ない。

 

 

(2022年4月22日追記)

購入から1年ほどCHUWI CoreBook Proを普通に使っていたが、以下の写真のように内蔵バッテリーが膨張し、タッチパッドとキーボードを押し上げるような形で隙間が空いてきてしまった。


CHUWIのサポートにメールで連絡してみると、返信はすぐに来て、バッテリーの交換が必要ですね、とのこと。購入日と居住国(私の場合はメキシコだ)を聞かれて、1年が過ぎていることを確認すると、「残念ですがこれ以上の対応はできません」というメールが来た。

今回の場合、リチウムイオンのバッテリーのみを交換品として送ってもらうことになる可能性が高い。国を聞かれるということは、他の場所なら交換バッテリーを送ってもらえる可能性があるのかと思い、改めて尋ねたところ、中国や日本は送れるとのことなので、一旦大阪へ送付してもらうことにした。

部品代が$25、送料$15とのことで、良心的だなと思ったら、手数料が追加で$30かかり、合計$70になった。PayPalで個人送金したら、トラッキング番号と、交換方法を録画した動画が送られてきた。

そして一週間ほど後、佐川グローバルエクスプレス(SGX)でバッテリーが届いたと連絡があった。

 

本体がメキシコにあり、バッテリーが大阪にあっても仕方ないのだが、当面は膨張したバッテリーは外してしまい、ケーブルをつなぎっぱなしで使うことにした。今は部屋に置きっぱなしなので、特に大きな支障はない。

部品交換は特に大きな問題もなく、精密ドライバーでネジを外して裏ブタを取ると、マザーボードとバッテリーへのアクセスができるようなる。ゴム足を外す必要があるのを忘れずに。

最近は国際貨物でリチウムイオン電池の送付が面倒なことになっているようで、もし日本から送る場合、日本郵便だと電池だけは不可、Fedexだと追加書類と追加料金という状況のようだ。

旅客便では機内持ち込みはできるようだが、次に日本へ行くときにはノートPCの本体を持っていって、本体に組み込んだうえで持ち帰るという方法で回収するのがよいかな、と思っている。

内蔵のバッテリーで互換のものを買うのもあまり気が進まないのと、実際にどれが純正に近い製品なのかがわからなかったので、今回はサポートから購入したが、電池を取り出して型番を見たところ、どうもこれが交換品として適切な気がする。大体似たような値段のようだ。

 

以前、例えばLenovoのPCを修理に出したときは、もちろん日本国内対応でよい対応だったことを覚えているが、今回のような海外通販だと、故障時に少しややこしいことになる。CHUWIは日本のブロガーにも商品を提供しているようで、割に気楽な記事も多いのだが、故障対応などの点が書かれていることはほとんどないので、どんなことになるか、一応頭に入れておいた方がよいかもしれない。