5G端末とメキシコ

そろそろ嫁のOnePlus 5Tを買い換えようかなあと思いながら、Aliexpressなどを眺めている。中国はもう5Gの端末が当たり前のようになっているが、4Gスタートの時と同じように当初はなかなか単一モデルで世界中をカバーするのが難しく、エリア毎に異なったバンド対応になっているケースが多い。例えば最近出たOnePlus 8の5G対応バンドは以下のようになる。

China: n1, n3, n41, n78, n79
EU: n1, n3, n7, n28, n78
US: n2, n5, n66, n41, n71
US/Verizon: n2, n5, n66, n260, n261

 

まあ正直次の端末は3年くらいとして、4Gが繋がれば基本的に問題ないと思われるが、ここメキシコでの状況もよく分かっていなかったので、少し調べてみた。

 

5Gの周波数はSub6と呼ばれる現状の4Gの延長線にあるバンドと、ミリ波と呼ばれる高い周波数のバンドがある。ミリ波はmmWaveの直訳のようだが(なんだか適当な訳だ)UWB(Ultra-wideband)、Upper bandとかHigh Bandと呼んでいるケースもあるようだ。

ミリ波は主にアメリカが推進していて、4Gの延長線でやりたがっているのは中国とヨーロッパという感じだ。単純に電波は周波数が低いほうがよく飛びよく曲がるので、携帯電話のような通信に向いているのは低い周波数になる。CMでよく聞いた「プラチナバンド」は、元々持っていたバンドよりも周波数が低いので、より楽にネットワークを整備できる。だからプラチナなわけだ。

狭い場所でピンポイントに高速通信したいというニーズ以外にミリ波のメリットはないので、Sub6とミリ波の両方を最初からやる気がある国は限られる。日本と韓国は人口密度の高さからある程度メリットが出るという判断のようだ。アメリカはどうもSub6の周波数が既に政府関係で使われていて移動させにくく、半分は仕方なくミリ波で行くということになっている感じもある。

 

ではメキシコの状況はどうか。メキシコはカナダ同様にアメリカの影響が強く、アメリカに近い仕様で通信が整備されてきた経緯がある。GSM/3Gは北米バンドだったし、CDMAのネットワークもあった。LTEは主にband4と2という感じだ。

ただ5Gに関しては状況が異なって、アメリカ同様というのが少し難しそうだ。アメリカの携帯各社(ベライゾンAT&T)はミリ波中心の展開で、シェアが小さいT-mobileのみが4Gの延長バンドでの展開を目指しているからだ。

 

メキシコの5Gネットワークで主に話題に出てくるのは600MHz帯と3.5GHz帯だが、現状は以下のようになっているようだ。

  • 600MHz(n71) - T-mobileが獲得した帯域と同様。メキシコでも帯域の移動が終わっているものの、割り当てのオークションがコロナ危機のため延期に
  • 3.5GHz(n77-79) - 日本の5Gと同様の帯域。メキシコでは既に割り当て済み
     - Telcel(America Movil) 3450MHz-3500MHz
     - Axtel 3500MHz-3550MHz
     - AT&T 3550MHz-3600MHz
  • mmWave(n257-261) - ミリ波帯域は検討段階
  • その他 - 700MHz(n28)や2.6GHz(n7, n38)も検討中だが、4Gで利用中

細かく見ていくと、AT&Tは非営利の免許だったりとか、Telcelは最近になって親会社のTelmexから帯域を融通してもらっていたりと、まだまだ完全なゴーサインという感じではない感じも受ける。

ということで、メキシコではn71とn78に対応している端末が良いのだが、現状ではあまり見つからない気がする。ただ、日本も含めて世界的にはn78が当初から主力となりそうなので、アメリカ版よりは中国版の方が良いのかなという気もする。

中国移動とドコモはn79、SoftBankau楽天がn77なので、あとは使う可能性があるキャリアにもよるという感じか。iPhoneはできるだけバンドをカバーするように作るので、次のiPhoneがどこまでグローバルな端末になるか注目だ。

 

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5G新無線周波数帯 - Wikipedia